furufur’s blog

日々の書き溜め。所属している団体、組織には一切関係ないよ。

助けを求める勇気。

仕事をするようになって、平日の朝はスーツ姿の大人たちで溢れかえるイメージが植え付けられた。怠そうに歩く人、眠たそうに目をこすりながらコーヒー缶を片手にしている人、生き生きと背筋をピンとして歩く人などたくさんの大人たちが電車に乗って職場へと向かう。
僕もその末席にいる者として、その日も職場へと向かうため早朝の電車に乗りこんでていた。大阪にいたころと違い、東京へと向かう電車はいつ乗っても満員だ。ほとんどのビジネスマンが席に座って少しの睡眠時間を確保している中、珍しく1つの席が空いていた。他に立っている人も近くにいなかったので遠慮なく座ることにした。職場近くの駅までは30分ほど。いつものように音楽を聴きながら、力を抜いて周りの人のように眠気に身を任せた。

 

 

 

意識を手放して乗り過ごしてしまわないように、うつらうつらとしながら米津玄師のピースサインを聞いていた時だったと思う。「すいません」と消え入るような声が聞こえてた気がした。まだぼんやりとした夢の中にいた僕はすぐに気づくことができず、もう一度声をかけられてようやっと顔をあげると申し訳なさそうにしているおばあさんが目の前に立っていた。少し困ったような笑顔で僕に向かって、赤字に白くハートマークと十字が描かれたカードを見せてくれた。眠気が一瞬で吹き飛び、おばあさんの言わんとしていることを理解できた僕はすぐに立ち上がって席を譲った。「ありがとうございます」と今度はすっきりとした笑顔に、僕は反対に苦笑いを返すことしかできなかった。

 

 

 

目的の駅に着いて職場へと向かう間、ずっとあのおばあさんのことを考えていた。
ヘルプマーク。少し前にSNSで話題になっていたからたまたま知っていたけれど、関西ではほとんど見たことがなかったので慌ててしまった。席を譲ることはなんとかできたけれど、なんとも言えないしこりが残っている。関東での認知度はどれほどなのかわからないが、関西では知らない方も多いような気がする。もしあの人がどこあ遠い場所に行って、同じような行動を起こしても訝しがられるだけかもしれない。困ったような笑顔で、ずっと立つことになるかもしれないと考えると嫌になる。自分から助けを求めることの葛藤や、受け入れてもらえるかわからないといった不安。いくら提示できるものがあるといっても、行動に移すまでには勇気がいることだと思う。その勇気に応えられる人になれるように、少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。
困っている人がいれば助け合う。助けを求める勇気に答えられるようになりたいものです。

 

 

 


『ヘルプマーク』は、一見してわからないしんどさを抱えている方が所持しています。現状は東京周辺でしか申請することができず、関東での利用者がほとんどです。
ただ、関東に関係なく公共交通機関、施設などでもし持っている方を見かけて困っていそうだったら一声かけて助け合うことを忘れないでほしいと思います。
助けを求める勇気に答えられるように、少し照れくさいながらも手を差し伸べられる光景が当たり前になりますように。f:id:furufur:20170811224610j:imagef:id:furufur:20170811224642j:image