furufur’s blog

日々の書き溜め。所属している団体、組織には一切関係ないよ。

【ネタバレ注意】君の名は。の円盤が擦り切れる勢いで観ました。

先日地上波で放送された「君の名は。」について、自分の考察と作品の設定などを踏まえたメモを書いていきたいと思います。

なんせ映画館で5回は見てますからね。ほぼ一人で。

Blu-ray初回生産限定盤も買ったし、もうすごいよ。

前職の時は通勤前にZIPじゃなくて「君の名は。」を見ながら身支度していたぐらいに好きなんです。

 

めっちゃくちゃマニアックだし、すごくネタバレなのでまだ観ていない方は絶対に読まないでください。

いや本当に読まないで。

観てても読まないで欲しい。

フリじゃないから。

本当に。

ネタバレすごいから。

 

 

こんだけ言ってるんだからいいでしょう。

ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆主要登場人物と設定

 

宮水 三葉(みやみず みつは)

糸守町に住む女子高生で、代々継がれてきた宮水神社の巫女。

糸守町の町長である父親がいるが、現在は祖母と妹との三人暮らし。母親とは幼少期に死別している。

この作品の主人公の1人。

随所にハリネズミのグッズを所持している描写があることから、相当に好きだと伺える。

田舎である糸守町の閉塞した環境に嫌気を感じており、都会である東京に並々ならぬ憧れを抱く

名前の由来は古事記に書かれている弥都波能売神(みづはのめのかみ)で、水を司る神様と言われています。

 

 

立花 瀧(たちばな たき)

東京に住む建築付きの男子高校生。

主人公の1人。

オシャレなイタリアンレストランでアルバイトをしながら、建物のイラストを描いたりしているイケメン。

スマホで日記を書いていたり、片思いしている人の写真を撮って保存して日記に残してしまうほどに初心。

父親との二人暮らしで、母親に関しては作品内で言及されていなかったため不明。

名前の由来は三葉の由来にある神様からのつながりが予想される。

 

宮水 一葉(みやみず ひとは)

三葉の祖母。

宮水神社の現当主であり、町の顔役となっている。

孫の父親たちが家を出てからは、女手一つで孫二人を育て上げるほどにたくましい。

登場時は82歳なのに若い。

次代を担う三葉たちに、糸守に受け継がれてきた歴史と、組紐の作り方を教えるなどして暮らしている。

 

宮水 四葉(みやみず よつは)

三葉の妹。

小学4年生で、いつも姉を起こすたびに襖をこれでもかというほどの勢いで締めていく。

だいたいお姉ちゃんや家族に振り回されている苦労人。

家族の確執や、伝統にあまりこだわりはないらしく普段は快活な性格。

 

勅使河原 克彦(てしがわら かつひこ)

三葉の高校の同級生で、父が糸守町で建築業を営んでいる。

オカルトマニアの愛読書「ムー」が好きでよく読んでいる。

機械オタクでもあり、部屋には無線機などの機械が散乱しているほど。

密かに三葉へと恋心をいただいてる描写がある。

あだ名はテッシー。

 

名取 早耶香(なとり さやか)

三葉の高校の同級生。

おっとりしている常識人で、三葉の親友。

テッシーのことが好きだけど、テッシーは三葉のことが好きだしで三角関係になっているのに三葉に対してなんの嫌味も言わず気をつかっている本当にいい子。

実は姉が役場の放送担当。

あだ名はさやちん。

 

宮水 俊樹(みやみず としき)

三葉の父親。宮水二葉の夫として、宮水家に婿養子として入る。

結婚前は民俗学者として働いており、糸守町で二葉に出会ったのも学者として調査にきていたことがきっかけだとされる。そこからは宮水神社の神主となるものの、二葉の死後、宮水という名に縛られる家族と町の様子に怒りを覚えて改革のため町長へとなる。異色のキャリアの持ち主。

 

奥寺 ミキ (おくでら みき)

瀧のアルバイト先の同僚の女子大生。

女子大生とは思えないほどの大人っぽさと、色気がすごい。

ハキハキとして、頼れる先輩という感じの性格。

実はタバコを吸っていたというかっこいい。キャラがたっている美人。

女子大生?本当に?色気がすごいよ?嘘でしょ?

いつの時代の女子大生???

 

藤井 司(ふじい つかさ)

瀧の高校の同級生。

インテリメガネイケメンで、友達思いのすごくいい子。

建築にも興味があるようで、よくカフェなどに瀧たちと出かけては構造を見たりしているみたい。

 

高木 真太(たかぎ しんた)

瀧の高校の同級生。

体格も良く、笑顔が素敵なナイスガイ。

瀧、司たちとよく建築の話をしているらしい。

 

 

糸守町

岐阜県の田舎をモチーフとされている架空の町。

糸守湖という湖を中心として、周辺に住居が並ぶ町。

歴史としては長く、古くから宮水神社の人間が町の中心となっていた。

 

御神体

宮水神社の御神体は、町の中心部にはなく、山の頂にあるカルデラ地形のところにある。

小さな祠のようなものが存在し、宮水神社の人間が都度お供えをする決まりになっている。

供物は代々の巫女がつくる口噛み酒。

 

ティアマト彗星

今作のキーワードとなる彗星。1200年周期で地球のそばを通過している彗星で、君の名は。の世界での2013年10月4日に最接近している。「ティアマト」とはメソポタミア神話における全ての母である原初の神の名前であり、その姿は巨大な蛇、竜のようだとされる。

 

かたわれ時

黄昏時、彼は誰時の別称。

夕方の昼でも夜でもない時間を指している。この呼び方は糸守町特有の方言とされる。

日本ではこの時間を逢魔時(おうまがとき)と呼び、人ならざるものに出会える時とも言う。

これは目の前の人の顔がよく見えずに、誰かわからない本当に人であるのかという疑心から生まれた言葉であると推測されます。

 

◆序「それはまるで夢の景色のように、美しい眺めだった」

 

・ストーリーが始まると主人公の語りと同時に、彗星の落下が描かれる。

映画館で初めて見た時には彗星と空の絵が綺麗すぎて泣いた。そこから、神木くんと上白石さんの二人が「それはまるで夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった」とハモるところでも鳥肌が立って泣いた。

開始10分ほどで二回泣いた映画は後にも先にもこの映画だと思う。あとOPとも言える夢灯籠が流れてきた時はポップコーンをなぜか投げつけそうなほど興奮していた。この時点で1800円の価値を感じたので帰ってもよかった。

 

夢灯籠が終わると舞台は糸守町へと移り、三葉と瀧がすでに入れ替わっていることがわかるシーンが少し映る。翌朝、三葉が学校へ登校すると昨日の様子がおかしかったことを周りから指摘されて疑問を感じている。別の人の人生の夢という、薄らぼんやりとした認識はあるものの確証はないような。ここで入れ替わりは現実のものというよりは、夢のように本当かどうかもわからないようなものであると説明が入る。現実のことならば覚えていないわけはないのだし、夢を見た後に思い出そうとすると霞がかかったようになる感覚を三葉は覚えています。

 

・テッシーとさやちんがベンチに座りながらコーヒーを飲んでいるシーンがあるのですが、さやちんの「テッシーは高校卒業したらどうするの?」という質問に対して「別に。ずっとこのまちで暮らしていくんやと思うよ」と答えるんです。これからも町があることが当たり前の未来がテッシーは頭の中にあるのですが、しかしこれも彗星によって変わってしまいます。ラストでてっしーとさやちんらしきカップルが結婚式の話をしているのですが、特に変わりもなく元気そうに行きているんですね、希望を持って。町の暮らしが当たり前であったのに悲惨な災害にあっても、人は前を向いて生きていけるというメッセージなのかなとも思いました。

 

 

・宮水神社の祭事が近づきつつあるということで、奉納する組紐をつくる宮水家。

宮水家の女性陣が三人とも着物に着替えて組紐の作業をしている中、お婆ちゃんから糸守の歴史が語られる。

そう、この時語られる中に繭五郎の大火というものがあって組紐を作る意味や、宮水神社の歴史などが綴られた古文書などが全て燃えてしまったという。

草履屋の繭五郎に最初はうっかりだなあと同情していたのだが、見終わった瞬間にこいつのせいで!!!!!となってしまった。

草履屋なのになんで火がそんなに燃えるんだよ、うっかりにもほどがあるくない?種火でかすぎでしょ、何を燃やしていたんだお前はと問い詰めたくなる。繭五郎のせいで主人公をはじめとする糸守町の人間は一回死んだようなものだし、でもこいつが火事を起こさなかったら瀧と三葉の入れ替わりもなかったんだからある意味恋のキューピッド繭五郎なのかもしれない時代めちゃ超えてくるなと思ったりで、複雑な気持ちになる。

「意味は消えても、形は決して消しちゃいかん」というお婆ちゃんの言葉からも、代々受け継ぐことを義務付けられたことがわかるし重要なことなのはわかるんだけど。燃えちゃったら諦めないで思い出して残しておいてほしいよ当時の人。

 

・宮水神社の祭事が始まると、巫女装束をまとった三葉と四葉が舞を踊る。

完全なネタバレになるけれど、この舞をよく見るとティアマト彗星が落下して割れるような表現がされている。さらに、ティアマト彗星という名前から作品中ではよく龍に例えられてこの彗星が描写されているが三葉と四葉が舞踊中に持っている錫杖のようなものも龍の装飾があしらわれていたりと彗星による災害が暗示されているのではなかろうか。

 

・今度は三葉が瀧の身体に入れ替わっているシーンへ。司がイケメンでしかない。奥寺先輩にスカート脱いでくださいって言ってそのまま許してもらう瀧くんってすごいし、奥寺先輩の包容力がすごい。

あと、イタリアンのレストランでわざわざ爪楊枝を持ち歩いてきて、カッターも持ってきているチンピラはなんなんだ。無銭飲食の七つ道具とか言ってまだまだ出してきそう。虫のおもちゃとか、髪の毛の束とか。爪楊枝はケースに入れて持ち歩いていたのだろうか。

 

 

◆破「入れ替わってるー!?」「入れ替わっとるー!?」

 

・なんやかんやあって互いの入れ替わりを自覚する瀧と三葉。それからは入れ替わり時の記録を日記に残すことで、二人の生活を守っていこうと協力を始めます。

この時に瀧くんが三葉へ残した日記が一瞬写るんですけど、めちゃめちゃかっこいいこと書いているのでテレビ放送を録画した方はぜひコマ送りでもう一度見て確かめてください。

 

・瀧が三葉に入れ替わっている際に、宮水家の御神体への奉納が行われる。糸守町の外れにある山の頂にある祠へと参ると、カルデラ地形の中心になった御神体の周りは川が流れている。この川を指して「ここから先は隠り世」というセリフがお婆ちゃんから話される。隠り世とはあの世のことなのだが、四葉は「あの世やー!」といって笑顔で渡っていく。怖いもの知らず過ぎる。

三途の川という言葉があるように、彼岸へ行くための道という意味で言っているだけかな?

後々の伏線にもなっている気がする。

 

・「むすび」という言葉がお婆ちゃんから何度か伝えられます。「寄り集まって形をつくり、ねじれて、絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがむすび。糸を繋げることもむすび。人をつなげることもむすび。時間が流れるのもむすび。」という話は、君の名は。を貫く主題でもあると思います。ここでいう「むすび」というのは、「結び」とも読み取れるのですが、神道の考え方に「産霊(むすひ)」というのがあって、これは神的なものがすべてを司っている、万物はこの産霊によって形作られるということなのですがこの意味も含めたむすびという言葉が劇中では使用されている気がします。

 

・本編とはあまり関係ないけれど、RADの「前前前世」は映画上でしか流れない部分があるんですよこれがストーリーとマッチしていてほんともういい仕事するなって思ったポイントです…

 

 

◆急「彗星…?」

 

・三葉との入れ替わりが終わった直後、瀧が目覚めると三葉がセッティングした奥寺先輩とのデートへ赴くことに。デート先で糸守町の景色を撮影した写真展へ行くことになるのですが、ここで瀧の中に三葉の影を見ることで瀧への想いを断つんですね。帰り際も瀧への気遣いというよりは、ちょっと拗ねているような。美人で、自分が相手にされていないとわかるとか奥寺先輩すごい。

 

・入れ替わりが起きなくなってから瀧はなんとか三葉に会おうとするのですが、場所もわからなければ、町の名前もわかりません。その代わりに町の風景を描いているのですが、高校生とは思えないほどうますぎて怖い。建築とかデザイン好きな人ってこんな風に描けるのか…

 

 

・三葉たちを探すために、瀧と合流した奥寺先輩と司たちは共に捜査するも見つからず徒労に終わったかと思って偶然入ったラーメン屋の高山ラーメンがめちゃくちゃ食べたい。

 

・糸守町の現実を知って打ちひしがれる瀧たちは一泊するために民宿に泊まるのですがここの奥寺先輩の浴衣がもう、ええ………

 

・朧げな記憶を頼りに、最後の希望である御神体へとラーメン屋のおじさんの協力を得て向かう瀧。この時に御神体へ向かう彼に向けて弁当を持って行けというおじさんが言うセリフが渋くて、思いが詰まってて高山ラーメーーーーーーン!!!!と思いました。

 

 

・暴風雨の中なんとか御神体へとたどり着いた瀧、現実であったことを喜ぶのもつかの間、早速三葉の口噛み酒を飲んで入れ替わりを引き起こそうとするのですがここからの描写がめちゃ綺麗。トリップしているようなイラストが流れて、三葉の記憶をたどる中で隕石の動きがある部分があります。これは、鳴き声などもあることからして龍をイメージしているように思えます。ティアマト=龍ということなんでしょう。

というかこれ、書いている途中に気づいたのですが、瀧という時って龍とさんずいへんなんですよね。水を司る神様から名付けられた三葉と、龍をイメージされた隕石であるティアマト彗星を結ぶのが瀧…………

 

新海監督!!!!!憎い!!!!!!大好き!!!

 

・なんとか入れ替わりが起き、瀧は彗星被害を食い止めるために奮走しますがなかなかうまくいかず。三葉へと会いに御神体へと向かいます。この時三葉が実は、三年前に瀧に会いに東京に言っていたことが明らかになるのですが瀧くんと向かい合った時の三葉が可愛すぎてすごい。別れ際の最後に組紐を渡したことで、瀧との縁がつながったところがいい。

 

カルデラ地形の御神体周辺部にて声は聞こえるけれど、姿が見えない瀧と三葉。

しかし、お互いがすれ違った時風鈴のような音がなるとすぐそこにお互いがいることを認識します。この時の風鈴の音というのは、古来から鈴の音というのは霊を呼び寄せ、霊が近づくと鳴るとされているものだったからではないかと。

終盤で大人の彼らがすれ違った時に鳴ったのも、この時の名残があったからではないでしょうか。

・かたわれどきはもう。言うことがない。最高すぎて。尊すぎて死ぬ。初めて見た時に恥ずかしすぎてポップコーンで目を覆いました。

 

かたわれどきは、黄昏時の別称という話が冒頭あったのですがこれは糸守町限定の言葉らしき描写があるのでおそらく、1200年前の町民が彗星が割れる時間帯を指して片割れどきという言葉が生まれたと推測できます。

 

 

・好きだ!!!!!!!

 

終「君の、名前は…?」

 

・ティアマト彗星落下から8年。瀧たちは就活生として、面接に苦労しているシーンが映ります。見た時は就活生だったので古傷がえぐられるようでした。

瀧、司、高木がそろっているのがほほえましいし、集まっているのがおそらく三葉が入れ替わっている時にきたカフェな気がして尚尊い

 

・この時司が指輪しているんです。

あとで出てくる奥寺先輩も指輪しているんです。

……………

 

 

・奥寺先輩と糸守町について話をしたのが記憶を呼び起こしたのか、図書館で糸守町の写真集を読む瀧。この時の神木くんのモノローグを聞いた時に鳥肌がたちます。今でも。

徐々に音が流れる太鼓のような音と、神木くんのブレスがすごい。

 

・最後、瀧と三葉が出会う瞬間。三葉はすれ違って声をかけようとするのですがうまく動けないんですよね。おそらく、中学生の瀧と出会った時に知らないと言われたことがあとを引きずっているのかもしれません。そこで勇気を振り絞って、今度は瀧から三葉へ声をかけるわけです。現実では合っていないけれど、確かにお互いに惹かれるものがあって普通の男女として出会う二人。

タイトルを回収して「なんでもないや」が流れ始めます。

 

 

 

 

冒頭から、終盤までストーリー交えながら心に残ったことを書いてきました。

読み返すとだいぶ気持ち悪い。オタクでした。

なんでこんなに1つの作品が好きなのかを考えると、「君の名は。」は

「連綿と続いてきた物語の要素を盛り込み、現代のものへと昇華させていること」と、「妥協なき細部へのこだわり」の二つがはっきりしているなと感じさせてくれるからです。

 

ちょこちょこ紹介しましたが、古来より言われてきた音の意味や、言葉の使い方を混ぜ合わせて違和感のないようにしているところが物語を古くさせない、日本が育んできた文化をエンターテインメントに融合させている点が面白い。

 

また、新海誠監督といえば背景画の綺麗さが有名ですが。今作も本当に期待を裏切らない美しさでした。映画館に入って観た彗星が落ちるシーンは、美しさで感動しました。

またRADWIMPSとのコラボもそうですが、本当に細かい。意味がない部分がないといってもディティールにこだわって、つくられているのがわかります。

人を感動させる作品は、本気で作られたものしかないんだというのが感じられた素晴らしいお仕事をされていらっしゃいます。

 

 

 

書いていたらもう一度観たくなったので、観よっと。

 

 

 

それでは、6000字を超えているのにここまでお読みくださった皆様ありがとうございました。

それでは。