【夫のちんぽがはいらない感想】生きることのどうしようもないめんどくささ
こんにちは。
最近、卒業が確定して嬉しいような寂しいようなわたしです。
あと40年ぐらい学生やりたいです。
さて卒業のために四苦八苦していたわたしですが、その合間にずっと読みたかった本を読むことができたのでその感想を書いていきたいと思います。
その本がこちら。↓↓
あらすじ
同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。
タイトルが衝撃的なこちらの本、「夫のちんぽがはいらない」。
こだまさんという著者の方の私小説となっております。
近くの書店を探しても在庫なしだったり、本を探してもらうためにタイトルを女性の書店員の方に言うだけでセクハラで捕まりそうだったのでアマゾンで購入して読んでみました。
こういう時にアマゾンは商品名をダンボールに表示しないというのが本当に素晴らしいと思います。提案者の人にチョコパイを買ってあげたい。
と、届いてから2日ですべて読み終えたのですが、この本に関してはじめに言いたいことは
初めて読んでいる途中に、本を閉じて頭を抱えた本だった。
文体が独特すぎて難解すぎて読み解くのがめんどくさいというわけではありません。
それよりも文章で表される生々しさとか、現実のどうしようもなさがスルスルと頭の中に入ってきて気持ちが悪くなる。
だけどこの気持ち悪さを時折解消させるユーモアがあったり、読了後の清々しさは呼んで良かったと思わせるものがあります。
タイトル通りの性行為を題材にした本では決してない、1人の女性の人生が体験した現実がただひたすらに描かれるこの作品。
この作品の特徴はなんといっても私小説ということ。
現実に著者の方が直面した出来事を素材にして描かれているものなので、ど
れもが実際に起こっている出来事、感じていることです(だと思う)。
生きていて感じる周りの人たちとの関係に対する面倒くささ、
「普通」とされる人生のテンプレートを押し付けられて生きる息苦しさと不安、
人と生きることの苦しさが書いてあるにもかかわらず、
冷静で、突き放さずに自分の経験として語っている文章に引き込まれる。
この本を読まなければこんな気持ちにならずに済んだのにと、途中で苦しくなることがあるかもしれませんが、最後にはきっとこの本に出合えてよかったと思えるようになるかと思います。
誰もが持っている「普通」とやらの価値観に押しつぶされそうなときもある、
自分を殺して普通にならなければいけないのかと死にたくなるようなときも、
大切な人のために何かを諦めなければならない時だって往々にしてあるけれど
そんな時、この本のことを思い出して笑って乗り越えられたらいいな。